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⑤ バサラ

  • 執筆者の写真: 梅原江史
    梅原江史
  • 3月17日
  • 読了時間: 3分



「バサラ」という我々の代表曲のひとつについて。


この曲は「いのちの風」という4作目のアルバムに最初に収録されました。

バンドの背景としては最初に訪れた大きなメンバーチェンジ(マットンさんと滋くんの脱退)を経て、北澤くんと中野くんが加入後に発表した単独作です。

2人とも公募による加入でMUSHA×KUSHAをやるためだけに高知に移住しました。

冷静に考えて下さい、すごいガッツです。

この頃、我々の中で大きな変化があって演歌的なアプローチをより大胆に導入しました。

アイデアを具体化させるのには難航を極めた。

数時間スタジオに入っても次の展開まで進まずに同じフレーズを繰り返すだけの日もあった。

まだ若かった僕たちが新しいものを取り入れようとすることは、即ち失敗の連続だった。

やっと曲の構成が仕上がった。

MUSHA×KUSHAの曲は殆どがメロディと大まかなアレンジが出来上がった状態を追って歌詞を書きます。

「バサラ」は最も長い曲だったので、サビは特に繰り返す必要性をより問われるものだった。

しかも、バサラという言葉が乗る部分は池田さんが歌う音階的な高さのピークであり、母音がアに限られていた。

バサラという言葉を閃くまでは色んな言葉をハメてみましたが、どれも曲のテーマを司るほどのものではありませんでした。

そんなとき、ふと宮沢りえ主演の「豪姫」という映画のあらすじ書きで見たバサラ精神という言葉を思い出したのです。

日常でこの言葉を使うことはほぼありません。

さほど気にしていなかったこの言葉の意味を辞書を開き調べました。

バサラというのは十二神将の一人であるといいます。

協調性がなく、派手好きだとか、神様のわりに好き勝手書かれているなと興味を持ちました。

裏を返すと、流れに従わず己を貫く意思の様にも思えました。

これだと思いました。

この頃はちょっとしたバンドブームでした。

インディーズで活動していたバンドがどんどんメジャーにピックアップされて桁違いの売り上げを叩き出し、そして解散しました。

僕たちの活動する界隈でも本当にやりたい選択をバンド自身が選べたのだろうかと疑問に思う光景は横目に見てきたつもりです。

ある種の穏やかじゃいられない心境がこの時期の歌詞には特に反映されていると思う。

その中でも「バサラ」は普遍的なテーマを伴った言葉を生み出せた気がします。

「バサラ」は我々の数えきれないライブで演奏されてきました。

特にアメリカでのツアーにおいては、日本からきたMUSHA×KUSHAというバンドを知ってもらうにあたり、効果的な1曲だったと思う。

苦しい思いをして生んだ筈の曲に作り手である我々が助けられる、そういったことがしばしばあります。


池田さんに歌詞を却下されることがたまにあって、理由を尋ねたところ、こう言われました。

「痛みが足らない」と。

僕たちはMUSHA×KUSHAというバンドをやっています。

 
 
 

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